現在表示しているのは、次のバージョン向けのドキュメントです。Kubernetesバージョン: v1.30
Kubernetes v1.30 のドキュメントは積極的にメンテナンスされていません。現在表示されているバージョンはスナップショットです。最新のドキュメントはこちらです: 最新バージョン
Namespaceに対する最小および最大メモリー制約の構成
このページでは、Namespaceで実行されるコンテナが使用するメモリーの最小値と最大値を設定する方法を説明します。 LimitRange で最小値と最大値のメモリー値を指定します。 PodがLimitRangeによって課される制約を満たさない場合、そのNamespaceではPodを作成できません。
始める前に
Kubernetesクラスターが必要、かつそのクラスターと通信するためにkubectlコマンドラインツールが設定されている必要があります。 このチュートリアルは、コントロールプレーンのホストとして動作していない少なくとも2つのノードを持つクラスターで実行することをおすすめします。 まだクラスターがない場合、minikubeを使って作成するか、 以下のいずれかのKubernetesプレイグラウンドも使用できます:
バージョンを確認するには次のコマンドを実行してください:kubectl version
.
クラスター内の各ノードには、少なくとも1GiBのメモリーが必要です。
Namespaceの作成
この演習で作成したリソースがクラスターの他の部分から分離されるように、Namespaceを作成します。
kubectl create namespace constraints-mem-example
LimitRangeとPodを作成
LimitRangeの設定ファイルです。
apiVersion: v1
kind: LimitRange
metadata:
name: mem-min-max-demo-lr
spec:
limits:
- max:
memory: 1Gi
min:
memory: 500Mi
type: Container
LimitRangeを作成します。
kubectl apply -f https://k8s.io/examples/admin/resource/memory-constraints.yaml --namespace=constraints-mem-example
LimitRangeの詳細情報を表示します。
kubectl get limitrange mem-min-max-demo-lr --namespace=constraints-mem-example --output=yaml
出力されるのは、予想通りメモリー制約の最小値と最大値を示しています。 しかし、LimitRangeの設定ファイルでデフォルト値を指定していないにもかかわらず、 自動的に作成されていることに気づきます。
limits:
- default:
memory: 1Gi
defaultRequest:
memory: 1Gi
max:
memory: 1Gi
min:
memory: 500Mi
type: Container
constraints-mem-exampleNamespaceにコンテナが作成されるたびに、 Kubernetesは以下の手順を実行するようになっています。
-
コンテナが独自のメモリー要求と制限を指定しない場合は、デフォルトのメモリー要求と制限をコンテナに割り当てます。
-
コンテナに500MiB以上のメモリー要求があることを確認します。
-
コンテナのメモリー制限が1GiB以下であることを確認します。
以下は、1つのコンテナを持つPodの設定ファイルです。設定ファイルのコンテナ(containers)では、600MiBのメモリー要求と800MiBのメモリー制限が指定されています。これらはLimitRangeによって課される最小と最大のメモリー制約を満たしています。
apiVersion: v1
kind: Pod
metadata:
name: constraints-mem-demo
spec:
containers:
- name: constraints-mem-demo-ctr
image: nginx
resources:
limits:
memory: "800Mi"
requests:
memory: "600Mi"
Podの作成
kubectl apply -f https://k8s.io/examples/admin/resource/memory-constraints-pod.yaml --namespace=constraints-mem-example
Podのコンテナが実行されていることを確認します。
kubectl get pod constraints-mem-demo --namespace=constraints-mem-example
Podの詳細情報を見ます
kubectl get pod constraints-mem-demo --output=yaml --namespace=constraints-mem-example
出力は、コンテナが600MiBのメモリ要求と800MiBのメモリー制限になっていることを示しています。これらはLimitRangeによって課される制約を満たしています。
resources:
limits:
memory: 800Mi
requests:
memory: 600Mi
Podを消します。
kubectl delete pod constraints-mem-demo --namespace=constraints-mem-example
最大メモリ制約を超えるPodの作成の試み
これは、1つのコンテナを持つPodの設定ファイルです。コンテナは800MiBのメモリー要求と1.5GiBのメモリー制限を指定しています。
apiVersion: v1
kind: Pod
metadata:
name: constraints-mem-demo-2
spec:
containers:
- name: constraints-mem-demo-2-ctr
image: nginx
resources:
limits:
memory: "1.5Gi"
requests:
memory: "800Mi"
Podを作成してみます。
kubectl apply -f https://k8s.io/examples/admin/resource/memory-constraints-pod-2.yaml --namespace=constraints-mem-example
出力は、コンテナが大きすぎるメモリー制限を指定しているため、Podが作成されないことを示しています。
Error from server (Forbidden): error when creating "examples/admin/resource/memory-constraints-pod-2.yaml":
pods "constraints-mem-demo-2" is forbidden: maximum memory usage per Container is 1Gi, but limit is 1536Mi.
最低限のメモリ要求を満たさないPodの作成の試み
これは、1つのコンテナを持つPodの設定ファイルです。コンテナは100MiBのメモリー要求と800MiBのメモリー制限を指定しています。
apiVersion: v1
kind: Pod
metadata:
name: constraints-mem-demo-3
spec:
containers:
- name: constraints-mem-demo-3-ctr
image: nginx
resources:
limits:
memory: "800Mi"
requests:
memory: "100Mi"
Podを作成してみます。
kubectl apply -f https://k8s.io/examples/admin/resource/memory-constraints-pod-3.yaml --namespace=constraints-mem-example
出力は、コンテナが小さすぎるメモリー要求を指定しているため、Podが作成されないことを示しています。
Error from server (Forbidden): error when creating "examples/admin/resource/memory-constraints-pod-3.yaml":
pods "constraints-mem-demo-3" is forbidden: minimum memory usage per Container is 500Mi, but request is 100Mi.
メモリ要求や制限を指定しないPodの作成
これは、1つのコンテナを持つPodの設定ファイルです。コンテナはメモリー要求を指定しておらず、メモリー制限も指定していません。
apiVersion: v1
kind: Pod
metadata:
name: constraints-mem-demo-4
spec:
containers:
- name: constraints-mem-demo-4-ctr
image: nginx
Podを作成します。
kubectl apply -f https://k8s.io/examples/admin/resource/memory-constraints-pod-4.yaml --namespace=constraints-mem-example
Podの詳細情報を見ます
kubectl get pod constraints-mem-demo-4 --namespace=constraints-mem-example --output=yaml
出力を見ると、Podのコンテナのメモリ要求は1GiB、メモリー制限は1GiBであることがわかります。 コンテナはどのようにしてこれらの値を取得したのでしょうか?
resources:
limits:
memory: 1Gi
requests:
memory: 1Gi
コンテナが独自のメモリー要求と制限を指定していなかったため、LimitRangeから与えられのです。 コンテナが独自のメモリー要求と制限を指定していなかったため、LimitRangeからデフォルトのメモリー要求と制限が与えられたのです。
この時点で、コンテナは起動しているかもしれませんし、起動していないかもしれません。このタスクの前提条件は、ノードが少なくとも1GiBのメモリーを持っていることであることを思い出してください。それぞれのノードが1GiBのメモリーしか持っていない場合、どのノードにも1GiBのメモリー要求に対応するのに十分な割り当て可能なメモリーがありません。たまたま2GiBのメモリーを持つノードを使用しているのであれば、おそらく1GiBのメモリーリクエストに対応するのに十分なスペースを持っていることになります。
Podを削除します。
kubectl delete pod constraints-mem-demo-4 --namespace=constraints-mem-example
最小および最大メモリー制約の強制
LimitRangeによってNamespaceに課される最大および最小のメモリー制約は、Podが作成または更新されたときにのみ適用されます。LimitRangeを変更しても、以前に作成されたPodには影響しません。
最小・最大メモリー制約の動機
クラスター管理者としては、Podが使用できるメモリー量に制限を課したいと思うかもしれません。
例:
-
クラスター内の各ノードは2GBのメモリーを持っています。クラスター内のどのノードもその要求をサポートできないため、2GB以上のメモリーを要求するPodは受け入れたくありません。
-
クラスターは運用部門と開発部門で共有されています。 本番用のワークロードでは最大8GBのメモリーを消費しますが、開発用のワークロードでは512MBに制限したいとします。本番用と開発用に別々のNamespaceを作成し、それぞれのNamespaceにメモリー制限を適用します。
クリーンアップ
Namespaceを削除します。
kubectl delete namespace constraints-mem-example